2017年6月12日月曜日

アンドレ・ドランの異色・婦人像

「名作美術館(その216)」

「野獣派 アンドレ・ドランの異色・婦人像」

5/1のクリムト以来の久々の当コーナーの特集は、
20世紀初頭、フォービズム(野獣派)の代表的画家として、アンリ・マチスらと共に活躍した画家の女性像です。
画家の画風は多岐に富んでおり、キュビズムや点描風、後年イタリア旅行後は古典的写実風にも開眼しました。
画家はパリを中心に活躍するも、ナチス占領下では彼らに協力した科で画壇から追放もされてしまいました。
今回、
そんな野獣派ならではの画家の代表的作品、筆者個人的には好みではなく、異例に近い作風を取り上げました。
以前より度々記していますが、筆者の独断と偏見で選ぶ当コーナーならではの、画家の非代表的作品をご紹介。
何はともあれ、ねっとりとした深い空間と存在感、まずは御覧下さい。

左:「少女」("Girl"), 1931
右:「お茶」("The Cup of Tea"), 1935

左:「パウル・ジュローム夫人の肖像」("Potrait of Paul Guillaume  with a large hat")
右:「リンゴを剥く少女」(The Girl cutting Apple), 1938 

左:「女の肖像」("Portrait of a Woman")
右:タイトル不明(Color Print) , おそらく単色摺りリトグラフ

一般的に知られている野獣派の画家の作風の印象とは随分と異なり、こんな絵も描いていたんだと、今回感心しました。
「上から目線」で何ですが、野獣派画家の従来の印象が吹き飛び、今まで知らなかった側面の発見が嬉しい限りです。
これもPCインターネット環境による恩恵で、現代テクノロジーを素直に喜びたいものです。

但し、とは言うものの、これらの作品画像に詳細データなく、製作年代の順番が分からなかったのは少々残念ですが、
予備知識や解説など不要の視覚情報のみで観賞するのもまた良しと言うことで、その不思議な視覚世界を堪能下さい。
写真的リアルさとはまた違った次元の心象的存在が、絵画とりわけ油絵ならではの魅力を充分に醸し出しています。
最後のシンプルなデッサン風なモノクローム版画もまた画家の息吹が感じられて、素朴かつ風雅で魅力的な作品です。

今後も機会があれば、有名・無名問わず(著作権に触れさえしなければ)、このコーナーで紹介したく思っています。

* * *

「ミュージック・ギャラリー(その236):雨の季節(その1)」

今回の当コーナー、前回からの「親子ラジオの世界」繋がり 兼 上述の女性繋がり 兼 梅雨入りの特集としました。
しっとりとしたこの季節、うっとうしい部分はさておいて、雨や霧に煙るミスティーな情緒を楽しみましょう。

筆者幼年時代から親子ラジオでのお馴染みの、女性歌手二人の大人な雰囲気をまずはどうぞ。

ドリス・デイ、「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」
Doris Day , " Fly Me To The Moon "

ジュリー・ロンドン、「ミスティー」
Julie London , " Misty "

筆者幼年時代(幼稚園児頃)に、夜の帳が降りるとこのようなムードあるバラードが聞こえてきたものです。
その頃は大人な女性の魅力等とは捉えられませんでしたが、その泡のような甘美な世界、催眠子守歌でした。

二人の女性歌手の歌声を聴いていると、どうしても筆者の叔母の姿も同時に浮かび上がってきます。
以前記したハーバービュー・クラブに勤めていたその叔母、赤い口紅に赤いマニキュアの煙草姿が、、、。
そのセイラムと言うハッカ煙草の煙をくゆらせながら、しゃがれた低い声で筆者兄弟を質問責めに、、、。
曰く「大きくなったらどんな人と結婚したい?」「マリリンとリタ・ヘイワ―ス、どっちの方が好き?」云々。
小学生時代、その叔母が米人の愛人からいただいた大量のLPレコードが筆者の愛聴盤にもなったものです。
子供の目前で煙草なんて現代だと良くない大人かも知れませんが、しかと生き様を見せてくれた良い叔母でした。



同じく上の「ミスティー」のインスト(器楽)ジャズでどうぞ。
こちらもまたまるで人間の肉声・吐息のような歌心が、この季節の湿り気にハマってしまいます。
動画画像はまさにタイトルのミスティーな雰囲気です。
当ブログの別コーナーの「デイリー・ギャラリー」や「森羅万象ギャラリー」とも兼ねたいような動画作品となっています。

スタン・ゲッツ、「ミスティー」
Stan Getz , " Misty (Instrumental) "
Recording Member 
Stan Getz : Tenor Saxophone ,  Chet Baker : Trumpet
Herbie Huncock : Piano ,  Gary Burton : Vibraphone
Ron Curter : Bass ,  Elvin Jones : Drums

ウェストコースト(米国西海岸)生まれのクール・ジャズの面目躍如なオシャレ演奏、快感です。
(筆者が現在ハマっている)テナー・サックスの「一人二重奏(楽器音程と吐息エアー)」が堪りません。

梅雨時の空の下、沖縄三線に加え、サックスのミスティーな雰囲気(練習も)も堪能したいと思う今日この頃です。

By T講師

* * *

「付記」

沖縄元県知事・元参議院議員の大田昌秀氏の訃報(12日)が飛び込んできました。
自らも中学生時代に鉄血勤皇隊員として日本軍に徴集され、多くの友人・知人・親族を沖縄戦で失いながらも、
早稲田大卒業後は米国シラキュース大学院へ留学、帰沖後は琉球大学にて教鞭を取り、多くの人材を育てました。
「ありったけの地獄」と言われた沖縄戦を生き抜いた氏の一貫した反戦平和を志す人生は潔く立派なものでした。
筆者も高校時代に氏の著作物に触れ、その後の人生に多大な影響を受けた者の端くれの一人です。
氏の冥福を祈らずにはいられません。
いつの日にか、氏の渇望した恒久平和が筆者の生まれ島に訪れることを同時に願いつつ・・・。
今年のノーベル平和賞の候補者の一人、大田昌秀氏、享年92歳。
合掌。

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