2017年10月8日日曜日

ワイエスの秋風情絵2題


「名作美術館(その224)」

ワイエスの「秋の水彩画」


Andrew Wyeth , " Porch" Water color


Andrew Wyeth, " Around The Corner " (1994), Water color

今回の当コーナー、筆者の大好きなアンドリュー・ワイエスの水彩画2作を取り上げました。
上2作、秋を明示する画題はありませんが、筆者の見立てで秋の風景として以下を進めます。
ワイエスは前3回のホッパーに続いて、やはり20世紀米国の写実主義を代表する画家です。
その冷徹で緻密・堅牢な質感で構成されたテンペラ画は、米国大陸の乾いた冬を表現していて快感です。

但し、今回取り上げた2作は水彩画で、これはこれでワイエス作品の一角を形成する代表的技法です。
テンペラ画が粘りある静的な画面なら、これらの水彩画の方は速度感のある軽快な質感が持ち味です。
言うなれば、幾度も習作を重ねて計画的に練られ構築された多くの時間を費やしたテンペラに対して、
水彩画の方は画家自身のインスピレーションを素早く紙面上に定着させるべく、その直感を留めるべく、
生でフレッシュな息吹が、それこそ一気に表現されているようです。


また、画家ワイエスの多くの水彩画作品に共通する要素としては、暖かな光・陽射しの存在も重要で、
画面内の外気温も厳しい冬の凍てつくような張りつめた緊張感は無く、陽射しの暖かささえ感じられ、
そこには、画家の余所行きではない素顔、もしくは魂の奥底の部分が露出しているような気がします。
と同時に日常スケッチやスナップに近い感覚も存在し、自らの住む世界を愛情を込めて表しています。

上作品の「ポーチ」、下作品の「(家の)角の周辺」共に白い壁に当たる陽射しが温かく感じられ、
「ポーチ」では洗濯物が、「コーナー」では窓辺のコスモスやマーガレットが柔らかな風を受け、
見えざる住人の飾り気のない日々の営みを想像させ、漏れ出る生活音も聞こえるような画面です。
そんな新鮮な画面を支えるのは、おそらく紙の無地のままの白壁と対比を成す草むらの濃緑色で、
水彩絵具の素早いウォッシュの筆致こそがこの2点の作品の隠れた肝・魅力でもあるようです。

* * *

「ミュージック・ギャラリー(その289):秋唄」

今回の当コーナー、上のワイエス作品と同様、「秋」にちなんだ歌をお届けします。
タイトルから行くと9月で、少々遅れ気味な気もしますが、歌詞などでは紅葉も登場。
緯度の高いニューヨーク辺り(日本なら旭川)がモチーフらしいので、まだまだ旬前です。
前回の当コーナーに続いて3度目の登場です。その小ざっぱりとした浮遊感ある歌唱、お聞きください。

ジョー・スタッフォード、「セプテンバー・イン・ザ・レイン」
Jo Stafford , " September In The Rain " (1950-60's)
元唄は何と1937年(!)作との事。軽快な旋律と編曲がオシャレで、筆者の幼少の頃より大好きな曲の一つです。
歌詞の dying amber とは琥珀色透明な茶褐色に染まったように去って行ったと言う意味です
楚々とした歌唱に加え、間奏のフルートとのユニゾンや、その後に流れ出るストリングスが快感至極です。

*

多くの歌手たちに歌われ続けている同曲、もう1曲続けます。
イギリスが生んだワン・アンド・オンリーな個性派男性歌手のカバー・バージョンです。
当動画、歌唱と共に、賑やかな(派手?)な画面も同時に楽しめます。では、どうぞ。

Rod Stewart , " September In The Rain "
from "The Great American Songbook v" (2010)
動画に一部エグい画像もあるも、ロッド・ステュワートの歌いっぷり、間奏のビブラフォン等、聞きごたえ充分です。
動画全体を支配するメイプルの醸し出す渋めの暖か黄色・橙色・朱色も、それなりに印象的で良い雰囲気ですね。
以上、オールド・ポップ(ジャズ)・カバーを2曲、お届けしました。

まだ少々早過ぎますが、日々、色づいてきた今年の紅葉の彩り具合はどうでしょうか?
今夏の天候が天候だけに、不安半分・期待半分と言ったところでしょうか?楽しみです。

* * *

「トム・ペティー追悼特集」

先だってアトリエに授業に訪れたHTさんから、開口一番でトム・ペティーの死を知らされました。
トム・ペティーは、20世紀アメリカン・ロックを代表するシンガーで、音楽家仲間からも敬愛されていたミュージシャンです。
そう言う意味では、以前 当コーナーでやはり追悼特集に登場したレオン・ラッセルとは共通点があります。
ブルースやカントリー等、米国のルーツ・ミュージックを土台にした彼の楽曲群は、温かくも普遍的です。
12弦ギターもアコースティック、エレキ問わず多用していて、筆者の大好きなアレンジとサウンドです。
今日は彼の長いキャリアの中では比較的・晩年のものとも言える曲を、その追悼として取り上げました。
米英の超大物音楽家の仲間5人が集まって世に送り出した2枚のアルバムの中からの代表曲の一つです。
動画には今は亡き音楽家たちの生前の元気な姿が見られ、20世紀が遠のいていくのを感じてしまいます。

トラベリング・ウィルベリーズ、「ハンドル・ウィズ・ケア」(2007年)
The Travelling Wilburys,
トム・ペティーTom Petty
ボブ・ディランBob Dylan
ロイ・オービソンRoy Orbison
ジョージ・ハリソンGeorge Harrison
ジェフ・リンJeff Lynne

" Handle With Care "

スタジオ1発録りでもしたかのような動画で、今は亡き面々が元気に楽しく歌っています。
元ビートルズのジョージ・ハリソン、ユー・リアリー・ガット・ミーのロイ・オービソン、
言わずと知れたボブ・ディラン、エレクトリック・ライト・オーケストラのジェフ・リン、
それに今回追悼のトム・ペティーで、みんなの幼少期の写真も垣間見られ、良い雰囲気です。
テンガロン・ハット姿がトム・ペティーで、この動画ではベース・ギターを弾いています。
楽曲はELOを彷彿させ、ジョージ・ハリソンの奏でるやさしいスライド・ギターも秀逸です。
ちなみに、
アトリエ生徒のHTさんは、故ロイ・オービソンが最も敬愛するシンガーだとのことです。
細かいビブラートがかかった彼の歌声は哀愁が漂っていて、筆者の心もいつも締め付けます。
何はともあれ、彼らの美しい彩りの音楽は、人々の心の中でいつまでも鳴り響くことでしょう。
トム・ペティー、享年66歳。あまりにも若すぎる黄泉の国への旅立ちです。

「緊急追加」

一旦、上の曲で追悼特集としたのですが、トム・ペティー本人の曲・歌声が聴きたくなりました。
彼のバンドの10年前のライブの様子で、代表曲の一つを歌っています。
余談ですが、ステージ脇で見え隠れするバック・コーラスの女性は、何とスティービー・ニックスのようです。
ギター・サウンドを愛し追求したトム・ペティーの在りし日の元気な姿・歌声、どうぞ。

トム・ペティー&ザ・ハート・ブレイカーズ、「ラーニング・トゥー・フライ」ライブ
Tom Petty & The Heart Breakers, " Learning To Fly (1991)", 2006 Live
感無量です。

R.I.P Rest in Peace) Tom Petty
Add George Harrison, Roy Orbison

今頃、先に逝った彼らとも出会い、大好きなギターを抱えてまたみんなで音楽を奏でていることでしょう。


By 講師T

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