2018年1月31日水曜日

T講師のクラフト・ワーク(その25)

1月末日

恒例の「名作美術館」、ネット上での良質画像に出会えず、今回はその掲載を断念。
よって、その代わりの年末・年始間に未編集で溜まっていた映像をアップしました。
と言うことで、いきなりですが・・・、

「T講師のクラフト・ワーク(その25)」
「ミニ・エレキ・ギターの改造・製作(後編)」


昨年末の12月6日にアップしたミニ・エレキ・ギターの制作・前編に続いての第2弾です。
その後、ひと月ほどのインターバル(製作中断)があり、今回の後編アップとなりました。

今回の後編、塗装編とでも言える仕上げまでの様子をアップしました。

灰色の水性ペンキによる下地塗装が終わった段階、左:トップ(表面)、右:バック(裏面)

「仮組み立て」


下地塗装を終えたボディーに既成のネックを仮組し、ブリッジ部も仮止め。
ネック両端に1弦と6弦を張り、ブリッジ部の中心位置や平行性を確認。同時にネック仕込み角度による弦高もチェック。


「ブリッジの改造・改良」


既製品のブリッジは簡素(安価)な構造で、後部からの弦通し仕様で、そのままだと弦のテンションが緩いものでした。
その結果、現振動は安定せず、結果 当然ながら弦の音程も乱高下して不安定だったので、その改善・改良に着手しました。
 その解決策としては、ブリッジ下に孔を開けてボディー下部へ垂直に弦を通すことで、張力を稼く方式に変更することです。
これはエレキ・ギターの元祖で究極とされる米国フェンダー社のテレキャスターやストラト等に採用されている方式です。

左:ボール盤に金属用ドリル芯をセットして、ブリッジ・メタル部とボディー木部を一度に垂直貫通させました。
右:背面に貫通した6本の孔の周囲を更に丸型ルーターで掘削。弦のボールエンド部の出っ張り防止の配慮です。

「ボディーの塗装」


 オリジナルの赤より濃いめのスプレー(アクリル・ラッカー)で、数度コーティング。
塗料がピックアップ取付部や配線カバーから内部に浸入しないようにマスキング済み。

 スプレー塗装は2段階で、赤色塗料を重ね塗り後、2日間乾燥。
その後、最終塗装としてクリヤー(光沢・透明)をコーティング。
ブリッジ下部スペーサーや、配線用カバーも2段階コーティング。

「ヘッド・デザインの変更」


オリジナルのエピフォン製のヘッド先端をカット&ペイント、御覧のようなギブソン・タイプに変更しました。
しかし廉価が売りな中国製、ヘッドの小さいミニ・ギターゆえ、Epiphoneのロゴを縮小もせず、ぶった切りです。
筆者のは、金色・筆記体でMilestoneと即興・手書き、左側に余白が出来たのでスパンコール製の星を貼りました。
要するにゴマカシです。(*^-^*)

ペグ(糸巻き)も大型廉価版から、小型高級品に変更。チューニングの精度・安定性を高めました。
右の交換後のロトマチック・タイプは、各弦のチューニング時のギヤ―・トルクの微調整が可能です。

左:既製品ボディーから取り外したピックアップ配線パーツ。
右:最終塗装(フィニッシュ)も無事終了。マスキングを除去。

「本組み立て(配線アッセンブリ―)」


新設計ホロウ(空洞)ボディーへ、いよいよピックアップ等を取り付けます。
ブリッジ、ピックアップ、ボリューム、アウトプット・ジャック等の配線をハンダ・͡͡コテを用いて接続します。

ボリューム・ポッドは裏面に設けられた配線孔よりセット。

ピックアップからボリューム、ブリッジへのアース線、出力ジャックと全ての配線が終了。いよいよの弦張りです。

ボディー・バック(裏面)配線カバーをネジ止めし、ブリッジ裏から裏通しの弦を張りました。
弦先端の合金製ボール・エンドは裏板より内側に沈降しており、平置き時や演奏時に安全です。

ブリッジ部のサドルを上下微調整。弦高も良好で、懸案だった弦のテンション不足も解消・改善されました。

「ひとまず完成」


 昨年末の製作開始時の様子。オリジナル既成ボディーとの大きさの比較。

完成した改造・新生ミニ・エレキ・ギター。

プチ自慢になりますが、ホールド性等の実用性は数段向上。ボディー構造改変で音質・音量も共に向上しました。
アンプに通しての初試奏、狙いどおりのミッド(中音)中心の円やかな音と、それなりのエッジも効いていました。
ミニ・ギターとは言え、アダルト&ジャジーな曲調・演奏にも適しており、今回の改造が成功したと言えそうです。

但し、全完成とは言えず、計画当初より予定していたピックアップ右側のピックガードの装着が実はまだなのです。
昨年末には購入済みのピックガード用のプラ板が製作中断中に行方不明となり、その加工・装着が出来ていません。
我ながら未整理アトリエのグチャグチャ乱雑状態に恥じ入ってしまいますが、発見次第すみやかに製作する予定です。
当ミニ・エレキ・ギター、ピックガード装着後の全完成の暁には、またその画像をあらためてアップするつもりです。



それに、
そんなに急ぐ必要もなくなってしまいました。新春3月に予定のバンド演奏会も残念ながら中止決定です。
そんな中、全完成のその後は一体 誰が気に入って演奏してくれるのでしょうか?(今は筆者・独占中)
学童演奏中の画像(音質さえ良ければ動画も)、いずれは当コーナーにてアップしたいのですが・・・
「熱しやすく、冷め易い」学童たち、もうその気・バンド熱を失ってしまったのでしょうか・・・?
「強制排除」「去る者は追わず」が筆者のポリシーとは言え、少々寂しさ・虚しさも感じてはいます。
さて果たして・・・?

By T講師

* * *


「ミュージック・ギャラリー(その302):国内MAD ムービー秀作編」


筆者の今回の上記クラフト・ワーク、興味ない方には退屈なコーナーだったかもしれず、その口直しとして特集しました。
お楽しみいただければ幸いです。

と言うことで、まずは前置きを・・・、
いわゆるマッドとは「狂った」等の意味合いを表すのが普通ですが、
昨今のネット上では、既存の音楽や映画・映像等を第3者が自由に編集・再構成した動画等を指す言葉との事。
その音楽や映像作品の正式な著作権者ではないので、違法な場合もあるそうですが、それなりに興味深いです。
音楽の場合など、中には公式のMTV等よりも優れたものも数多く散見され、文化的な意義も感じられます。
特にyoutube等のネット配信動画等ではパブリック・ドメイン的要素も多く、秀作も多数存在しています。

ついでに言及しますが、
国内のJASRAC等の著作権者の権利保護を名目にした過剰な規制・取締りには、目に余る行為も存在しています。
また商業的受益者から徴収した版権料も実際の権利者への公正な分配が疑わしい不透明部分も存在しています。

とは言え、
今回はそんな複雑な問題はまたの機会にして、MADムービー作品の画像と音楽の合成の妙味をお届けします。
「非オフィシャルなので即削除」はやめてもらいたい、との声もコメント欄には多数寄せられているほどです。
音楽の方は両作品共にONE OK ROCK(ワン・オクロックと国内では読ませている)と言うバンドの楽曲です。
彼らを初めて聞いた時には、英語の歌・サウンド共に完成度高く欧米のグループかと勘違いしたほど秀逸です。

まずは映画の「永遠の0(ゼロ)」を映像として用いたMAD作品です。
2本目は、東日本大震災・当時のドキュメント映像が使用されています。
今回のMAD作品、製作者はko ARAと言う方で、何と製作3本目(下)と5作目(上)との事!
その音像合成世界、続けてどうぞ。

ONE OK ROCK、" Fight The Night "、映像:映画「永遠の0」より


ONE OK ROCK、" Be The Light "、映像:東日本大震災時のドキュメント

両作品とも当動画に使用の映像に関しては色々な見方や意見等あって当然ですが、合成が見事だと思いました。
音楽と映像がシンクロして魅力が倍増し、強烈なインパクトを与え得る制作者の感性や技術の高さが凄いです。
2本目の動画では犠牲者や被災者の問題もあり、様々な意見もあるとは思いますが、映像作品として捉えました。
2作共に見る者の胸深く鋭くえぐられる作品となっていて、色々な事象に様々な想いが錯綜・積層していきます。



ONE OK ROCK と言うバンド、素晴らしい感性と技術です。が、欲を言えば生身の個性が見えてきません。
我が国の音楽業界もここまで来たか、と言う感慨もありますが、同時に漫然とした違和感も感じています。
それはまるで高性能の人工知能(AI)が編み出した隙のない秀才楽曲のように、筆者には聞こえてきます。
ナショナリティーもローカル性も個性や生い立ちも、その嗜好性や志向性も、筆者には見えてはきません。
その日本人離れした卓抜した歌唱や演奏、何でもありで、また何にもなさそで、掴みどころがありません。
緻密な企画会議やプロデュース&スタジオ・ワーク等の業界的な匂いだけで、生身の抒情が希薄なような。
筆者のナチュラルかつシンプルでアーシーな音楽的嗜好が、そう感じさせているとは思いますが、、、。
また、動画に登場の4名(うち楽器3名)のみでは、ライブでは到底このような演奏は再現が不可能です。
そのライブ動画でも、4名の他にバックの演奏者たちの姿もなく、案の定 打ち込み再生・半ライブでした。
「ロック」を自称するのなら、その生命線でもあるライブ演奏にこそ注力すべきだと感じてしまいました。
コンサートでの「打ち込み・再生」は、半分騙しライブみたいな気がして、筆者としては支持出来ません。
でも、彼らの動向や創り出す楽曲等には、今後注目してみたいと言う久々の興味は湧き上がってきました。
以上、
老いぼれとなった筆者の「辛口・上から目線」戯言でした。
平に ご容赦。

_(._.)_


By T講師

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