2017年12月1日金曜日

日本美術の秋風情(最終回)

金曜日・曇り

晩秋から初冬へと季節も移り変わってしまった今日この頃ですが、去りゆく美しい「秋」に焦点を当ててみました。

当コーナー、実は2週間ほど前に編集終了直後、アップを試みたものの、その最中に全データが消え失せてしまいました。
逐一の自動保存が効いているはずでしたが、一瞬にして霧散霧消。PC中を探し回るも、どこにも見当たりませんでした。
それまでの履歴を手繰っても、プレビュー等のページ内も全て空白と言う今までにない現象に見舞われてしまいました。
それなりの時間を要して自分ながらに頑張った思い出話などの文章もあったので、そのショックで立ち直るのに苦労しました。

トラブルさえなければ、さる11月17日にアップ予定だった幻と化していた特集、
今回は落胆・失墜する気持ちに鞭打って、何とか気を取り直して、その短縮版をアップしました。

* * *

と言う訳で、遅ればせながらの、

「名作美術館(その226):日本美術の秋風情ー最終回」


「長谷川等伯の秋絵二題」

国宝 「松に秋草図屏風」文禄元年(1592年頃)、京都・智積院

上の秋草図、松の老木が金色の雲間にどっしりと描かれ、その周囲には秋の白菊等が丹念に描かれています。
絵師の持つ洗練された形象と桃山時代の華麗さや息吹が感じられ、その画面は今もなお輝き続けています。

 国宝「楓図屏風」、文禄元年(1592年)、京都・智積院

こちらは言わずと知れた我が国の桃山美術を代表する傑作で、やはり国宝・最高峰の水墨画「松林図屏風」に並ぶ名品です。
当アトリエでは以前にお馴染みのAYさんがアレンジ模写に挑戦したことがあり、筆者もまた描画意欲をそそられています。

京都・智積院(ちしゃくいん)内での障壁画の様子

等伯や4人の息子等、長谷川派の絵師たちが存分に腕を振るった「楓図」をはじめ「桜図(国宝)」等もあります。
元々は秀吉の長男・鶴松(三歳で夭折)を弔った菩提寺の 祥雲寺で、京都を代表する真言宗総本山の古刹です。
秋には紅葉の名所でもある美しい庭園もあるようなので、機会を作って是非とも訪れてみたい場所の一つです。

今回の画像もまた良質なデータとは言い難く、その補足として個人のブログ掲載の画像も併載しました。
展覧会のパンフレット等の方が、細部の画質など良いようですね。



紺碧障壁画、その一部の何処を切り取っても「絵」になりますね。
鋭い観察力での写生の目を基本としてはいるものの、絵画化にあたっての形象化には高度な審美眼が基盤となっています。
例えば、「萩の葉」一つとっても個々の形とその組み合わせには、単なる写生を超えた伝統美的な感性が存在しています。

美しい四季を擁する我が国の自然や風土がその背景です。絵師たちもまたその美に感動し、金地の上に描き移しました。
能登の辺地より出て京の都で一代で大成した絵師・等伯の目に映った秋の紅葉は今日同様の目映いものだったと思います。

* * *

「ミュージック・ギャラリー(その294):京の秋風情」


今回の当コーナー、上の「秋風情」と、絵師の活躍した「古都・京都」に焦点を当てて特集としました。
古刹の庭園の木々たちが織りなす様々な色彩の競演、滲みやボカシや重なりが深く美しく、幻想的です。
2編、続けます。お楽しみください。

[美しい京都の紅葉]
More beautiful Kyoto autumn in the world

「秋の京都・嵐山」
Autumn in Kyoto-Arashiyama / Jeff Kwok

「京都の紅葉」今も憧れます。
筆者、残念ながら京都訪問は夏の方が多く、秋に訪れた数回の京都も仕事のみで、紅葉を充分には楽しめませんでした。
外国の国々や街々にも憧れますが、近い将来には是非とも機会を作って「秋の京都」を存分に楽しみたいと思っています。

* *

さて「京都」ついでに、今となっては懐かしい昭和歌謡も聞きたくなってしまいました。
筆者若かりし頃のヒット曲で、2曲は日本中の若者たちにエレキ・ブームを巻き起こした米国グループの作品です。
彼らの名はベンチャーズ。筆者の友人たちも故郷の南島でその洗礼を受け、そのコンサートにも熱狂していました。
歌うは筆者と同郷の沖縄出身の大人びた女性歌手で、そのハスキーで糸を引くような歌声が艶っぽくて堪りません。

ご年配の方には懐かしい昭和歌謡、3曲 続けてどうぞ。

「京都の恋(Kyoto Doll)」(1970年)、composed by The Ventures、渚 ゆう子(Yuko Nagisa)

京都慕情Kyoto Bojo)1971年composed by The Ventures渚 ゆう子 (Yuko Nagisa

最後にもう一つ、昭和には多数存在した男性コーラス・グループの一つ「ボニージャックス」が歌ったヒット曲のカバーです。
まるで当人のオリジナル・ソングかのような、伸びやか艶やかな歌唱が編曲と共に秀逸で、快感です。

「女ひとり(Onnna Hitori)」、渚 ゆう子(Yuko Nagisa)

3曲ともバック演奏に琴の調べが活かされている「京都風情」、色気と情緒が程よく混在していて良い雰囲気ですね。
今の時代には希薄な「昭和」の持つ陰りと湿り気を帯びた抒情が快感です。
正に、遠くなりにけり「昭和」、遠くなりにけり「大人色気」です。


他に、京都をモチーフにした楽曲に、筆者若かりし頃に流行ったフォークと言うジャンルでも幾つかありました。
その中でチェリッシュの「なのにあなたは京都へゆくの」や、かぐや姫の「賀茂の流れに」等もアップ予定するも、
オリジナルのレコード(スタジオ録音)バージョンが現在のyoutube上には無く、今回は残念ながら断念しました。
音楽界に残ったチェリッシュの2人、今ではテレビで高齢者向け商品のCMに出演していて、隔世の感があります。

By T講師

筆者後記:所有のPCトラブルで、一旦はまっさらになった今回の「特集」、何とかアップに漕ぎ着けました。
PC不調あり、Yi-Fi不通ありで、適切な時期を失ってはしまいましたが、お楽しみいただけたのなら幸いです。
「師走」に入り、紅葉も落葉へと変わりゆく今日この頃ですが、イチョウの大木などまだまだ黄葉も有りです。
里が褐色の冬枯れ色(これはこれでまた美しいですが)へと変貌する前の、季節の変わり目を楽しみましょう。


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