2017年2月27日月曜日

ボナールの花(その2)

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「名作美術館(その212):ボナールの花(その2)」

前回の当コーナーに続いて、ボナールの花の絵(4点)をお届けします。
今回もまた画題やサイズなど、データはありませんが、その香しい画面を観賞ください。


Pierre Bonard、Oil Paintings

室内のテーブルやチェスト上に置かれた花瓶とその花がリズミカルで愛らしい雰囲気を漂わせています。
静物画のことを、フランス語ではナチュール・モルト(Nature Molt )と言います。
その意味を直訳すれば、死んだ(molt)自然(Nature)で、動くことのない物の意味合いとのことです。
ちなみに英語ではスティール・ライフ(Still Life)で、静止したもので、ライフは実物みたいな意味です。

アンティミスト(親密派)とよばれたボナールらしい情感溢れる暖かな目で捉えた花々が美しいですね。
上2作は暖色系の色合いを中心に、また輪郭も柔らかめにしてそのふくよかな佇まいを表現しています。
下2作の方は背景を暗めに沈め、花や茎との対比を強めて、その線的フォルムを強調してあります。
どちらの瓶花も周囲との調和が美しく、上2作が昼間の外光、下2作が人工照明的な光を感じさせます。
また3点の絵で使用されている花瓶は同じもののようですが、花や周囲の物品とマッチさせています。

写実的技巧を強調せずに、その対象物や空間の放つオーラの魅力をこそ引き出すボナールらしい世界です。

今回もまた、一足早い「(開花の季節は除外して)春」の息吹きを楽しんできただけたのなら幸いです。

* * *

「ミュージック・ギャラリー(その263)」

今回の当コーナー、上のボナールの花に似合うような音空間を選びました。
画家ボナールと同世代のフランスの作曲家のピアノ曲です。
共に大仰・壮大な世界とは逆の、密やかで私的でまどろむようなリラックス空間が快感です。

エリック・サティ、「グノシエンヌ第5番」、ピアノ演奏:カティア・ラベック
Erik Satie," Gnossienne No.5 / , Piano :Katia Labeque


筆者の大好きな作曲家サティ、当コーナーでは3度目(2曲目)の登場です。
曲名はフランス語とギリシャ語を混合させたサティ独自の造語とのことです。
この曲名以外では用いられない単語で、「知る」と言う言葉が語源らしいです。
演奏はラベック姉妹と言う日本のTV・CMにも出演した著名なフランス人演奏家の姉の方です。

春の暖かな光と空気が漂ってくるような音空間、ボナールのBGMには良いような気がします。

By T講師

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